戦争は撃ち合うだけじゃない『補給線』

戦争と言えばやっぱり戦闘の場面が真っ先に思い浮かぶ。戦車とか兵士とかが陣形を組んで激しく撃ち合いをして、走ったり血を流したり絶望したり歓喜したりするような、そんな場面。そこでどのように行動するかが勝敗を決める、と早計な人は考えがちだが、勝敗を決めるのはそこだけではない。

 

戦闘に至る道のりを進み、弾薬や食糧を調達し輸送する、というところから戦争はすでに始まっている。戦争での人や物の輸送・移動を「兵站」というが、兵站も戦争にとって非常に重要な側面らしい。

 

兵士も人間なので食べないと戦う前に死んでしまう。弾切れになったら降伏するしかない。兵站・補給は簡単な問題のように見えるが、必要な食糧や弾薬の量が膨大になることから、実は全然簡単ではなく、むしろ戦争のしかたに強い制約を加える要素なのである。そういうことを書いたのがこの本。マニアックだが戦争本界隈では名著扱いされているようだ。

 

補給制度がなく、食糧などを馬に運ばせ、それが尽きたら周辺の村から強奪したり購入したりしていた16~17世紀から、ナポレオンを筆頭に補給制度が試行錯誤のうちに作られはじめ、そして鉄道や自動車が発明されて兵站の形が変わっていくまで、兵站がどう戦争に制約をかけてきたのか、そしてかつての指揮官らはいかにしてその制約の中で最大の成果を上げる工夫をしてきたのかが執拗なまでに詳しく具体的に書かれている。

 

正直かなり難しくて何度もギブアップしかけたが、読み終わる頃には戦争への理解が一段以上は上がるような本だと思った。しかしむずい。