2017-01-01から1年間の記事一覧

お茶に見る日本人のユニークな美意識『book of tea』感想

岡倉天心という人が外国人に、日本の茶の文化と精神を紹介するために書いた本。 西洋人は日本文化について、西洋文化より劣ったものと考えがちだったが、それを否定している。西洋文化と日本文化の違いは優劣ではなく方向性の違いであると。 茶の起源はイン…

フィクション世界を真面目に研究する遊び『ゾンビで分かる神経科学』

薬学をやっている弟に借りて読んだ本。ゾンビにも神経科学にもそんなに興味はなかったが、ゾンビと神経科学を組み合わせて本を書こうという作者の考えが面白いと思ったので読んでみた。 神経科学というのは、人間とか動物とかが神経や脳を使ってどのように世…

戦争は撃ち合うだけじゃない『補給線』

戦争と言えばやっぱり戦闘の場面が真っ先に思い浮かぶ。戦車とか兵士とかが陣形を組んで激しく撃ち合いをして、走ったり血を流したり絶望したり歓喜したりするような、そんな場面。そこでどのように行動するかが勝敗を決める、と早計な人は考えがちだが、勝…

鋭く愛のある人間観察 『無名仮名人名簿』感想

ドラマ脚本家・向田邦子氏のエッセイ集。 大人といえば「真面目で、品行良く、気が利き、しっかりとした人」という大人像があると思うが、実際のところ世の中にはそうでない大人も多く存在する。まぬけだったり怠惰だったり、妙な癖があったり卑しかったり。…

知識はワインの味わいを何となく増してくれる 『基礎ワイン教本』感想

聖書なんかにも出てくるぐらい、欧米では親しまれているワイン。もちろん日本人も飲むんだけど、自分としては学生時代に初めて飲んで以来、どこか取っつきにくさみたいなものを感じていた気がする。個人的にはフレンチやイタリアンは大好物だし、そういう食…