2018-01-01から1年間の記事一覧

『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』感想

村上春樹の小説は割と好きでよく読むけど、基本的に主人公がかなりすかしている。 しかし今回読んだこれはすかしていながらも自分の弱さとか不安とかを読者さらけ出していて好感が持てた。 そういったところも含めて、村上作品のわりには現実感というか生活…

田山花袋『蒲団』

中年の作家が、弟子の女学生を好きになるが、恋叶わず悔しがる話。 国語の授業とかでよく紹介される有名な日本文学だが、普通に面白かった。 「立派な大人」という体(てい)で女学生に接しているが、本当は下心にまみれているおっさんの描写がリアル、そし…

空気に飲まれやすい日本人の考察『空気の研究』感想

日本人の習性として「空気を読んで流されやすい」という話をよく聞く。「空気が読めない」という意味の「KY」という言葉が少し前に流行ったりしていたこともあるし、不祥事を起こした有名人を一斉にたたく様子などを見ても、確かに日本人には空気に流されや…

天才を超えるためには何が必要か『やり抜く力』感想

「努力で才能を越えることはできるか」という問いについては、誰もが考えたことがあるんじゃないだろうか。努力か才能を越えると信じたい、しかし才能のある人間の能力は圧倒的に見える。うさぎと亀の話では亀が勝ったが、うさぎがドジでなければ亀が勝つこ…

巨大自動車メーカーの表と裏『トヨトミの野望』感想

愛知県豊臣市(架空の都市)に本社を構える大手自動車メーカー「トヨトミ自動車」をめぐる様々な事件や人間模様を描いた小説。 主人公はトヨトミ自動車の社長である武田という男。昔はあまりに遠慮なしにものを言うので会社では疎まれフィリピンに飛ばされる…

本当に組織のためになる人材とは『採用基準』感想

元マッキンゼーの筆者が、マッキンゼーの採用基準について書いた本。 マッキンゼーは超頭いい人しか入れないというイメージだったが、そのような地頭の良さよりも「リーダーシップ」が重要な採用基準だとのことで、さらにマッキンゼーだけでなく世界的にリー…